土地の上に家屋がない!? 庭先部分を相続しても小規模宅地等の特例OK
2016/10/18
関東信越国税局はさきごろ、「庭先部分を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用」に関する事前照会に対し、特例を適用して差し支えないという文書回答を行った。
事前照会の趣旨および事実関係だが、被相続人Aが居住の用に供していた家屋(A所有)の敷地は、庭先の部分のX部分の土地と、残り全体のY部分の土地の二筆から構成されており、これらの土地を相続人B(Aの子)と相続人C(Aの養子で、Bの子)が相続によってそれぞれ取得した。
ここで、被相続人Aとともに当該家屋に居住していた相続人Bが、庭先のX部分の土地を相続により取得し、申告期限まで引き続きX部分の土地を有し、かつその家屋に居住することとした場合、庭先のX部分の土地について、特定居住用宅地等に該当するとして、小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができるかどうか、という照会を行った。なお、家屋についてはY部分の土地とともに相続人Cが相続により取得するが、家屋には、今後も継続して相続人Bが居住する予定。
これについて関東信越国税局は、被相続人Aと同居していた相続人Bが相続により取得するX部分の土地は、相続開始の直前において、被相続人Aの居住の用に供されていた家屋で、被相続人Aが所有していたものの敷地だが、(庭先の)X部分の土地の上に家屋が存しないため、居住の用を廃することなく、X部分の土地のみを処分することが可能であることから、特例の適用は認められないのではないかとの疑問が生じるところだと指摘。
しかし、相続人Bが相続により取得するX部分の土地と、相続人Cが相続により取得するY部分の土地は、一体として「相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で被相続人が所有していたものの敷地の用に供されていた宅地」であることからすると、居住の用を廃する必要があるかどうかにかかわらず、X部分の土地は、「相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で被相続人が所有していたものの敷地の用に供されていた宅地」に該当し、また、相続人Bは、被相続人Aの親族であり、「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた者」に該当する。
したがって、相続人BがX部分の土地を相続により取得し、申告期限まで引き続きX部分の土地を有し、かつ、家屋に居住している場合には、X部分の土地は、「特定居住用宅地等」として特例の対象になるとした。